ブラック企業から身を守る【状況別】5つの方法

フラットな組織 基礎知識
フラットな組織

「2-6-2の法則」というものをご存知でしょうか。

どのような組織でも、2割の人が優秀な働きをし、6割の人が普通の働きをし、残りの2割の人はサボったり大した働きをしないという法則です。

働きアリや働きバチを例に挙げて、自然界でも2-6-2の法則があるのだから、人間社会にも当てはまるのだと言うのです。

初めに誰が言い出した言葉なのかはわかりません。

もし、あなたの上司がこの法則を言い出したならば、その上司は部下のマネジメントをサボっている2割の人だと思いましょう。

そして、他部署への異動を希望するか、転職を真剣に検討することをおすすめします。

なぜなら、ブラック企業とは、このような意識の人々が無自覚に形成するものだからです。

今回のテーマは「ブラック企業から身を守る」です。

様々なブラック企業を経験してきた私が提示できる、ブラック企業から身を守るポイントは、状況別に見た以下の5点です。

・【就活】経営者の考えを知る
・【インターンまたは入社後】受入対応と研修内容と組織構造を見る
・【就業中】視野を広げ多様な価値観をもつ
・【退職】苦しければ逃げる
・【退職後】自己肯定感を大切にする

まずはブラック企業とは何かを改めて確認し、その後で上記5つのポイントについて順番に詳しく説明していきます。




  1. ブラック企業とは
    1. 定義
    2. 特徴
      1. 法律より社内ルールや従業員同士の合意を上位させる
      2. 経営者や管理職が、労働法規に興味がない
      3. 上下意識がある
      4. 人材を育てたいと思い上がっている
      5. 人に興味がない
      6. 学歴を気にする
        1. 学閥がある
        2. 学歴でレッテルを貼る
        3. 学歴をネタに従業員をけなす
      7. 人事評価が属人化、または形骸化している
      8. バイアスが強い
      9. 時間にルーズ
      10. 「理想」と「売上」の話し合いの割合に指標がない
    3. ブラック企業まとめ
  2. ブラック企業から身を守る5つの方法
    1. 【就活】経営者の考えを知る【外から見抜く】
      1. 資格取得の支援制度
      2. 副業禁止かどうか
      3. 産業医はいるか
      4. 組織構造
    2. 【インターンまたは入社後】受入対応と研修内容と組織構造を見る【内から見抜く】
      1. 受入対応
      2. 研修内容
        1. 学生と社会人のギャップ
        2. ギャップを埋めようとする意識
      3. 組織構造
        1. ブラック化しやすい組織モデル
          1. 権限が分散する
          2. 会議が多い
          3. 「縄張り意識」が発生する
          4. 出世とは異動すること
          5. 勤務時間外の負担が多い
          6. 上層に行くほどバイアスが強くなる
          7. 現場から活気が失われる
          8. そもそも「事業部制組織」を採用した目的を忘れる
          9. 「プロジェクト」を活かせない
        2. ブラック化しにくい組織モデル
          1. 役員と末端従業員との距離が近い
          2. 従業員が複数のグループや上司と関わる
          3. 現場での自由裁量権が多い
          4. 役員と管理職の性別割合が、概ね男女同数
      4. 有給休暇
    3. 【就業中】視野を広げ多様な価値観をもつ【環境や気持ちをコントロールする】
      1. 複数のグループに入る
      2. 社外とも繋がる
      3. 社内評価より社外評価
    4. 【退職】苦しければ逃げる【決断のタイミング】
    5. 【退職後】自己肯定感を大切にする【レジリエンス(心身の回復)】
      1. 自己肯定感とは
      2. レジリエンスとは
  3. まとめ

ブラック企業とは

もはや耳慣れた言葉となった「ブラック企業」ですが、おそらく2008年頃までは存在せず、2012年頃までは殆ど知られていない言葉でした。

2013年度のユーキャン新語・流行語大賞のトップ10に「ブラック企業」が選ばれましたが、その前後で加速度的に社会に認知された経緯があります。

日本の労働問題を社会問題化し、「ブラック企業」という言葉を世に広めた中心人物は今野晴貴さんです。NPO法人での活動や労働社会学の分野で活躍されている方です。

英語では「スウェットショップ(sweat shop)」という言葉が近い意味を持ちます。直訳で「汗の店」とも読めますが、私が翻訳するなら「搾取する事業所」と表現すると思います。

定義

ブラック企業とは、以下のような企業を差します。いずれか一つでも当てはまればブラック企業と言えるでしょう。

・労働者を低賃金または劣悪な労働条件で働かせる
・労働法規に違反している
・従業員に過重労働・違法労働を強いる
・パワハラによって使い潰し、心身に病気を患わせるなどし、離職に追い込む。または離職させない。

・従業員の人権を踏みにじる行為を認識しながら、適切な対応をせずに放置している

また、この記事では便宜上、

ブラック企業の経営者を「ブラック経営者」
ブラック企業の管理職を「ブラック上司」
ブラック企業に馴染む従業員を「ブラック従業員」

と呼び、

ブラックではない企業を「ホワイト企業」

と呼ぶ事にします。

特徴

ブラック企業には以下のような特徴があります。下記のうちいずれかの特徴に当てはまるなら、ブラック企業の疑いがあるか、将来ブラック企業になる気質を有しています。

・法律より社内ルールや従業員同士の合意を上位させる
・労働法規に興味がない
・上下意識がある
・人材を育てたいと思い上がっている
・人に興味がない
・学歴を気にする
・人事評価が属人化、または形骸化している
・バイアスが強い
・時間にルーズ
・「理想」と「売上」の話し合いの割合に指標がない

それぞれ、順番に見ていきたいと思います。

法律より社内ルールや従業員同士の合意を上位させる

ブラック経営者は、従業員を守る法律を軽視する傾向にあります。逆に雇用主を守る法律には詳しいです。

この傾向は、起業して成功を収めた初代のワンマン社長に特に顕著です。

そもそも起業家というのは、(労務管理システムを作って売りたいとか、社会保険労務士事務所を開業したいなどの一部の例外を除き)労働法規とは無関係なビジネスマインドを持つ人々です。

自分が成功する為なら何でもする、24時間戦うビジネスマンなのです。

彼らは、1日8時間戦うサラリーマンの気持ちがわかりません。

なぜサラリーマン達は、自分が頑張ってきたのと同じように頑張る事ができないのか、頑張ろうとしないのか、頭ではわかっても実感としての理解ができません。

そして理解しないまま、従業員を自分の思うように動かそうとし、または「従業員の為を思って」自分のビジネスマインドを刷り込もうとし、無自覚に労働法規に反した過重労働を強いたり、人権を踏みにじったりします。

ブラック経営者は、法律よりも、自分や従業員達の間で交わされた合意を上位させます。

例えば、

・残業は1日30分以内なら日ごとに切り捨てる
・朝礼の時間は給料を出さない
・業務時間外に掃除をさせる

などです。こういった法律を無視した社内法規や慣例などに対して、

「従業員達が自分たちで発案したものもあるし、本人たちが合意してやっているのだから問題ない。不満があるなら辞めればよい。」

などと言ったりします。

ホワイト企業の場合、例えば従業員から

「地域貢献のために30分早く出勤してみんなで掃除しませんか」

というような提案が出されたら、経営者や管理職から、

「会社の名前で地域貢献しようとしてくれる気持ちは嬉しいけれども、法律的に問題があるかもしれないから、社労士の先生にちょっと相談してみるから、一旦保留してください」

という呼びかけが早い段階で必ずあり、

そして確認した結果、

・活動時間分の給料を出さないと法的に問題があるかどうか
・活動時間分の給料が出せるか出せないか
・以上を踏まえた上で活動を許可するかしないか

などの判断がくだされます。

経営者や管理職が、労働法規に興味がない

普段からテレビや新聞やネットでニュースや報道番組を見るなどして、日本社会の動向に関心のある一般的な大人の感覚であれば、出世して管理職になったり、新人教育を担当するなど人を指導する立場になれば、

「自分もいよいよ人を指導・監督する立場になったのだから、せめて一度、労働法規にひと通り目を通してみた方が良いかな」

と考えるものですよね。

会社によっては、管理職を対象に定期的にコンプライアンス研修を行ったりするものです。

「え、そんな事は自分は考えた事もなかったし、これまで周囲にそんな人は一人もいなかったよ。それに、そんな事まで気を回せるのは一部の大企業だけでしょう?自分には縁がない話だよ」

このように思った人はいるでしょうか。

もし貴方がそうであれば、不運にもブラック上司になる素質があるか、すでに無自覚にブラック上司になってしまっている可能性があります。

ブラック上司は、例えば、

『36協定』
『ノーワーク・ノーペイの原則』
『強制労働の禁止』
『中間搾取の排除』
『公民権行使の保障』

などのような、知らないでは済まされないような、ごく一般的で基本的な言葉すら見た事がないか、一瞥しただけで「自分には関係がなく、一部の人だけ知っていれば良い専門用語」に見えてしまい、記憶に留める価値がないと思って生きています。

ブラック経営者、ブラック上司、ブラック従業員などは、

「そんなの労務部の担当者だけわかっていればよくない?」

などと思っています。

そして、そう思いながら、労務部に対しては、コンプライアンス違反の可能性がある部署に介入して指導できるような強い権限を持たせてはいません。

だいたいそういう企業は、労務部のような事務関連の部署を、利益を生まない赤字部門とみなし、有期雇用の非正規労働者を使い回して低コストを維持しようとします。

または、労務部そのものがブラック体質である場合もあります。

ホワイト企業であれば、管理職の人間のふるまいにブラック傾向が見られれば、上司や周囲が見咎めますし、従業員からも何らかのアクションがあるはずなのですが、ブラック企業に残って出世する人々は似た者同士なので、互いを庇い合ったり、逆に助長しあったりする事はあっても、見咎めて注意する事などはありません。

上下意識がある

ブラック経営者やブラック上司は、

「自分の方が立場が上」
「仕事を与えている」
「指示を出している」

というような感覚で、自分と従業員との間に上下意識を持っています。

自分たちが求人したのが先である事を忘れ、

「従業員が会社に就職を希望してきた」
「大勢の希望者の中から選んで採用してあげた」
「うちで育ててあげている」

という感覚を持っています。

当たり前の事をあえて言わせて貰いますが、

・雇用主や上司は、従業員に対して「働いて頂いている」
・従業員は、雇用主や上司に対して「働かせて頂いている」

という対等な関係のはずです。

従業員は比較的その姿勢を維持するものの、雇用主の方は一瞬でその姿勢を崩す傾向にあります。

また、酷い場合には、部署間に上下意識があります。

例えば営業部の担当者が事務職の担当者に対して、

「俺たちがお前たちを養っている」

などと、面と向かって公言する事もあります。

これも、当たり前の事をあえて言わせて貰いますが、

・営業部は「事務職が納税手続きするお陰で事業継続でき、損益計算するお陰で戦略を立てる事ができ、経費精算するお陰で営業活動できる」
・事務職は「営業部が広告、集客、販売するお陰で会社が利益を出せている」

という対等な関係のはずです。

事務職の担当者は比較的その姿勢を維持するものの、営業部の方は一瞬でその姿勢を崩す傾向にあります。

人材を育てたいと思い上がっている

「人材を育てるな」とは言っていませんので、タイトルを見て誤解しないで頂きたいです。

ブラック企業は、育てたいと「思い上がっている」姿勢が問題なのです。

ホワイト企業の場合、人材を育てたいと思うのではなく、

「できるだけ平等に多くの機会を与え、奨励しながら、意志を尊重しサポートする姿勢を取っている」

という事が言いたいのです。

例えば資格取得を奨励する場合、

ホワイト企業は決して受験を無理強いするような事はしません。業務時間内に勉強会などを設けて学習意欲を発揚し、希望者を募って受験料を経費精算し、受験前日に有給取得したいかヒアリングしたりします。

ブラック企業の場合は「全社員は義務として○○の資格を取得すること。会社の金で受験させてやるのだから、絶対に合格するように」などとプレッシャーを与えながら、日常業務は減らさず、残業が多く有給取得もままならないほど業務過多な状況を改善する気もなく、学習のサポートをする発想もなく、落ちればそれをネタにパワハラします。

また、「育てたい」という意識には、無自覚に従業員を下に見る驕りの気持ちが隠れています。

「育てたい」と思っていると、目の前の従業員が、実は自分より能力が高いかもしれないという謙虚さや、働いて頂いているという感謝の気持ちが無自覚に薄れます。

そういう企業に運悪く就職してしまい、内情を知ってがっかりしてしまった本当に能力の高い人というのは、手の内を見せずにしばらく様子見をし、履歴書に記載しない実力を隠したまま、副業などに力を入れつつ、すぐに退職の時期を検討します。

そしてやがて、企業が願っている「育てたい」という気持ちを満たしてくれる人材だけが残ります。

中には「自分を雑に扱う人や環境に、認められようと努力してしまう」ような、真面目な性格の人がいます。

指示通りに真面目にやっていれば、やがて信頼を積み上げて自分を認めてくれると信じているような、やや盲目タイプの人です。

ブラック企業は、そういう「素直」で「真面目」なタイプの人を組織内に長く留まらせ、その人から日々体力と精神力を削り、時間とキャリア形成の機会を搾取します。

もっと悪いのは、「育てる」という意識でいるのに、実際は「選んでいる」だけというパターンです。

ブラック経営者やブラック上司は、自分を気分良くさせる従業員を選んだり、自分と似た性格や容姿の従業員を躊躇なく優遇します。

自分の思い通りに動く従業員や、成果をあげられる従業員を選んで優先的に高評価に直結する仕事をまわすなどし、優遇しただけなのに「自分が育てた」「目をかけてやった」と思い込みます。

これによって、記事の冒頭に紹介した「2-6-2の法則」を自らの手で実現するのですが、自分が原因でそうなっている事に気が付かないのです。

また、「選んでいる」だけの人の特徴として、例えば

「質問しない奴はやる気がない」

というような事を言い出す事がよくあります。

「質問はない?」と聴いて「大丈夫です」と答えると「じゃ、完璧なんですね」などとプレッシャーを与える事もよくやります。

何かを教えて、相手からの反応がないとつまらないとか、質問されないと理解度が推し測れなくて不安になるとか、先輩として自信があるとか、そういう自分の気持ちや都合を優先している為です。

ホワイト企業の上司や教育係などは、コーチングをしっかり学ぶので、

「質問が無い時は無理やり質問を考える必要はありません。今すぐに疑問が思い浮かばなくても、実際に仕事をしている途中で気がつくことがあれば、いつでも気軽に聴きに来てください。もし私に聞きづらければ、他の先輩達も優しいので誰にでも訊きやすい人に訊いてください」

と伝えます。

人に興味がない

ブラック上司は人に興味がありません。

人に興味がないので、従業員を一人一人細かく分析する事もできませんし、知っているマネジメント手法も驚くほど少ないです。

管理職に就いているにも関わらず、マネジメント手法のトレンドにも疎いので、例えば成功した企業のマネジメント手法に関するビジネススクールの研究レポートなどは読んだこともなく(読むという発想すらなく)、知識がないので当然実践の経験もありません。

10年も前にコンサルタントに教わったマネジメント手法を、一度もアップデートする事なく続けているようなケースもあります。

そうして自分なりに謙虚に頑張っているつもりで居ながら、無自覚に「自分や、自分と気の合う人々が気分良く働ければそれでよい」という姿勢を取っていて、指摘されると否定するか、開き直るかします。

ブラック経営者やブラック上司は、

「部下が自分の思う通りに動いてくれない。どうすれば売上目標を達成してくれるのか」

というような、会社の事を考えているように錯覚して実は自分の願望に基づく悩みを抱える事はあっても、

「この従業員が仕事に充実感を得て、本人が望むようなキャリアを積んでいけるようにするには、どう助力すればよいだろうか。」

というような、尊重の気持ちに基づく悩みを抱える事はありません。

学歴を気にする

ブラック経営者、ブラック上司、ブラック従業員は、学歴を気にする事がよくあります。

例えば以下のような特徴を示す事があります。

・学閥がある
・学歴でレッテルを貼る
・学歴をネタに従業員をけなす

順に説明していきます。

学閥がある

社内の人間関係において、出身校ごとに派閥が存在します。

社内の権力者と同じ学閥にいると、希望の部署へ異動できたり、出世が有利になったりします。

学閥のない従業員が、どれだけ職能を示したり、成績を出したりしても出世コースに乗ることができません。

学歴でレッテルを貼る

受験時の学歴偏差値や学部などでレッテルを貼ります。

・勉強ができる人は頭がよい→頭が良い人は何でもできる
・あいつは文系だから〇〇のような仕事が向いている

などのような公式を勝手に作り、個人の職能を考慮せず、希望を聴かずに仕事を回します。

学歴をネタに従業員をけなす

例えば、

「高学歴なのに何もできないんだね」
「同じ学校出身の○○と比べて全然仕事ができないね」
「やっぱ中卒は○○だな」

などのように躊躇なく従業員をけなすパターンだけでなく、

「学歴は職能に関係ない」
と言いながら
「高学歴でも仕事ができない奴はいる」
というように、普段は本音を隠しながら根本的な考えや態度がブラック気質であるパターンがあります。

学歴も個人の特徴の一つなので、部下をマネジメントするという職能に謙虚に向き合うホワイト気質の上司であれば、

「この高学歴の従業員が伸び悩んでいるのは、伸ばせない自分に足りないものもあるからだ」

と考えます。

元々はホワイト気質の人であっても、ブラック企業にいると部下をマネジメントする余裕がないほど業務過多の状態であったり、「朱に交われば赤くなる」で周囲のブラック気質に影響されて無自覚に学歴を気にするようになっていきます。

人事評価が属人化、または形骸化している

ブラック企業は、人事評価が属人化している事があります。

例えば、

・KPIやKFSなどによって定量的に評価しようという姿勢がない
・資格手当がない
・成果が同じでも、アピールが得意な人が高評価となり、アピールが苦手な人やアピールしない人は低評価となる

などがあります。

また、定量的な人事評価制度はあっても、形骸化している事もあります。

・評価制度が古い
・評価制度が実態に合っていない
・定量的な評価はするが、給与や待遇に反映されない
・単年ごとの刹那的な評価しかせず、長年従事する人に対する貢献度を測るような指標が抜けている
・定性情報(定量的に測る事ができない性質の情報)を軽んじる

などがあります。

また、ブラック上司は、従業員に評価制度やキャリア形成の話などをする際、「人間力」や「コミュニケーション能力」などのような曖昧なものさしを持ち出して、従業員を困惑させる例もよくあります。

そして困惑している従業員を見て「自分で考えるように」などと言って誤魔化します。(そして本人に誤魔化しているつもりはないのです。)

バイアスが強い

ブラック上司は、部下に対して、

「お前そんなんじゃ、どこ行っても通用しないぞ」

と言ったりします。

自分と一緒に過ごしたほんのわずかな状況しか見ていないのに、まるで世の中全体を見ているように一般化してアドバイスするのです。

これを「過剰一般化バイアス」と言います。

バイアスとは「思い込み・先入観・思考の偏り」の事です。

社内だけの狭い世界の認識を、世間一般の認識に近いものだと思い込んでしまうのです。

こういう指摘をされる人の多くは「部下を思って敢えて言い方を考えてアドバイスしている」と言い訳し、そのように自らを錯覚させようとします。

でも、そういうアドバイスの発想が出てくる時点で、すでに脳内では「過剰一般化バイアス」が起こっているのです。

ブラック企業に所属する人に限らず、人間という生き物はバイアスから逃れる事はできません。

しかし、ブラック企業に所属していると、バイアスが極端に強くなります。

なぜなら、過剰労働や過剰なプライベートへの介入などによって、社外の価値観に触れる時間や機会が減少するからです。

「うちは他社に比べてゆるい方だよ?」
「それって社会人としてどうなの?」

こんな事を言う人も、狭い業界や特定の業種しか知らないのに、自分の見てきた社会を過剰に広げ、世間一般に勝手に当てはめているだけなのです。

また、以下のような会社はバイアスが強い傾向があります。

・新卒採用のみ
・最近まで新卒採用のみだった
・役員や管理職が新卒からの生え抜きのみ

上記のような特徴に当てはまる会社は注意しましょう。

時間にルーズ

ブラック企業は時間にルーズです。

例えば、

・勤務時間外に朝礼をする
・昼休憩に労働する
・自己判断でサービス残業する
・休日に出勤させようとする。または連絡を取ろうとする

などの特徴があります。

特に出勤時間に関しては、「準備は仕事ではない」という意識があるので、定時に自席のパソコンの電源を入れるようでは評価を下げます。

仕事時間は生産性のあるタスクをするものと思っているので、例えば上司が前日の深夜に部下にメールした内容を、部下が今朝の定時前に読んでいないと許せないのです。

また、ブラック従業員は、自分がミスした事によって定時までに終わらないタスクがあると、自己判断で残業します。そして残業代を申請しないのです。上司もそれを黙認します。

そういう従業員が上司になったら、自分の部下に対してどう接するか、だいたい想像がつきますよね。

「理想」と「売上」の話し合いの割合に指標がない

ブラック経営者やブラック上司は

「どうすれば売上が伸びるか」
「今季の売上はどうだったか」

という内容の話題を、他の従業員の前で際限なく行う傾向があります。

もちろん営利目的の企業ですから、売上を気にするのは当然です。

しかしブラック企業の場合は「気にする」感情の赴くままにどこでも話し合ってしまうので、例えばマネジメントの観点で、従業員の見てる前でどれくらいの割合で話すのが適切かといった、理性的で明確な指標を持っていません。

その結果、売上好調時には笑い声が響いたり、売上不調時には怒鳴り声が響いたり、職場の空気は理性の効かない殺伐としたものになっていきます。

そういう殺伐とした空気を感じない鈍感な人や、

「営利目的の企業というものは、多かれ少なかれそういう傾向があるものだろう?」

と居直るドライな人や、倫理観の欠如した従業員ばかりが長く残り、発言権が強まります。

こういうタイプの人達は、売上の為なら多少の倫理に反した行動や、法令違反などにも目を瞑るような傾向があり、徐々に歯止めが効かなくなっていきます。

放って置くと違反行為はエスカレートしていき、誰にも注意されないので自分たちの行動を意に介さなくなっていき、ブラックな文化が醸成されていきます。

 

逆にホワイト企業は、

「どうすれば顧客により良い価値を提供できるか」
「どうすれば従業員が幸せになれるか」

といった理想を話し合う事を奨励します。

もちろん営利目的の企業なので売上についても話は出ますが、「お金」や「売上」や「集客」といった直接的な文脈ではなく、「価値提供」などの文脈で話し合います。

そしてマネジメントをしっかり意識するので、例えば売上を匂わせるような話題はできるだけミーティングの時だけ集中的に行うようにし、他の従業員の前で話す事があっても、適切な割合を共有し意識するので、互いに過剰にならないよう「ちょっと多くなってきたから、続きはまた後で」などと注意しあいます。

ブラック企業まとめ

ここまで、ブラック企業について説明してきました。

ブラック企業とは、従業員から不当に搾取する事業所の事です。

過剰労働、違法労働、低賃金、パワハラなどによって従業員の体力、時間、精神力を奪い、心身を疲弊または病を発症させ、キャリア形成の機会、そして人生の多くの時間を奪います。

ブラック企業には、法律より合意を上位させ、労働法規に興味がなく、上下意識があり、人材を育てたいと思い上がっており、そのくせ、人に興味がなく、人事評価が属人化・または形骸化しており、所属している人々はバイアスが強く、時間にルーズであり、売上の話題に理性が効いていない職場であるなどの特徴があります。

現在、または過去に所属した事のある企業に、これらの特徴が一つでも当てはまるなら、ブラック企業かもしれない、将来ブラック企業になるかもしれないと疑ってみるとよいかもしれません。

以上を踏まえ、次章ではブラック企業から身を守る方法についてご紹介していきます。




ブラック企業から身を守る5つの方法

それでは、いよいよ本題に入ります。

ブラック企業から身を守る方法として、様々な状況に対応すべく、次の5つの観点でそれぞれ説明したいと思います。

・【就活】ブラック企業を外から見抜く
・【インターンまたは入社後】ブラック企業を内から見抜く
・【就業中】環境や気持ちをコントロールする
・【退職】決断するタイミングを知る
・【退職後】レジリエンス(心身の回復)

上記5つの観点は、冒頭でも触れた5つのポイントと対応します。

・【就活】経営者の考えを知る
・【インターンまたは入社後】受入対応と研修内容と組織構造を見る
・【就業中】視野を広げ多様な価値観をもつ
・【退職】苦しければ逃げる
・【退職後】自己肯定感を大切にする

それでは、順に説明していきます。

【就活】経営者の考えを知る【外から見抜く】

就活中には企業のホームページなどを見て就職希望先を選ぶと思いますが、経営者の自己紹介文や採用の呼びかけなどから、ブラック体質を見抜くのは困難です。

経営者のブログやSNSから何となく雰囲気をつかめる場合もありますし、企業評価サイトへの書き込みからわかる事もありますが、参考程度に留めておきましょう。

また、インターンがあれば内部の雰囲気を知るチャンスですので、積極的に活用しましょう。

しかし筆者の経験として、インターンが見ている前では急に怒鳴る事をやめた上司もいたので、インターン経験についても過度な信頼は禁物です。

就活中に確認すべきポイントは、以下の4つです。

・資格取得の支援制度
・副業禁止かどうか
・産業医はいるか
・組織構造

資格取得の支援制度

資格取得の支援制度は重要です。
内容の充実度にも注目する必要があります。

例えば、

・予備校へ通う費用、教材の購入費、受験料などを経費で落とせる
・給与に資格手当が上乗せされる
・勤務時間中に勉強会などが盛んに開催されている(勤務時間外でも違法ではない)
・伝統的に価値が高いとみなされている資格だけでなく、業界のトレンドを反映した新しい資格にも視野を広げている

などです。

上記のような会社は、

・人事が社内評価に偏りすぎないよう、社外評価を取り入れてバランスが取れる
・従業員のキャリア形成や、退職後の会社への影響なども考えている
・昇進しても常に新しい知識への貪欲さと現場へのリスペクトを忘れさせず、古い知識への過信を増長させない仕掛けがある

という事が言えます。

副業禁止かどうか

副業禁止の会社というのは、「副業しない従業員ばかりの会社」なので、視野が狭く、バイアスが強くなり、無自覚にブラック化する傾向があります。

貴方に副業する意志がなくても、確認しておくと良いでしょう。

産業医はいるか

そもそもの話として、50人以上の事業所には産業医を専任しなければならないという法令がある訳ですが、それすら守っていない会社はよくあります。

「支社に顧問産業医はいないけど、本社にいるから大丈夫」と勘違いする事例もよくありますが、「50人以上の会社」ではなく「50人以上の事業所」という条件なので、事業所ごとに産業医が専任されていなければならないのです。

仮に50人未満の事業所であっても、産業医が専任されているかどうかで経営者が従業員を大切にしている会社かどうかが、ある程度測れます。

心身の健康というものは、個人の強弱や日々の心がけや努力に関係なく、ふとした事がきっかけで、いつでも誰にでも不調が起こりえるものです。

最低、年に一回はストレスチェックを行っている企業なのかどうか、何らかの手段で確認できると良いでしょう。

ただし、稀に産業医を形だけ利用しているような会社があるのも事実です。

産業医からのアドバイスが現場に近い管理職に全く届かず、産業医の存在が活かされないまま現場の従業員が苦悩し、入れ替わりの激しい業種もあります。

辞めた従業員の情報は、ストレスチェックに反映されないのです。

ですので、規模に関わらず産業医がいないのは「明らかにNG」とし、いる場合もそれでOKとするのではなく「とりあえず及第点」程度に留めておくとよいでしょう。

組織構造

組織構造についても、可能な範囲で多くの情報を入社前に集められるとよいと思います。

ポイントは次の3点です。

・中間管理職の多さ
・事業部制組織の場合、何年同じ状態を維持しているか
・役員の男女比

ただ、入社前の情報収集が難しい部分も多いので、詳細は次の「【インターンまたは入社後】組織構造を知る【内から見抜く】」に記載します。

【インターンまたは入社後】受入対応と研修内容と組織構造を見る【内から見抜く】

インターン中や入社後に見るポイントは、

・受入対応
・研修内容
・組織構造
・有給休暇

の4点です。

受入対応

まず初日の手続きで契約書等へのサインがないような企業は論外です。(筆者は一度そういう企業を経験しました。)

それから、給与振込先の金融機関を会社が指定し、強制するのも労基法違反です。

会社が指定する銀行口座を従業員が持っていないと、有無を言わさず作らせる企業がよくあります。

本来であれば「経費削減に協力してほしいので、できれば○○銀行の口座を開設して貰いたいのですが、お願いできますか?」というように十分な説明と合意が必要であり、それでも従業員が別口座への振込を希望すれば企業側は拒否できません。

なので、十分な説明なく口座開設手続きを自動的に進めてしまうような企業は「労務担当者ですらコンプライアンス意識が低い」とわかります。

研修内容

研修内容によって企業がどれだけブラック化しやすいかわかります。

研修内容に「学生と社会人のギャップ」を認識し、その「ギャップを埋めようとする意識」が働いているかどうかがポイントです。

学生と社会人のギャップ

学歴を個人の特徴として見る場合には、次の2つの事実を意識する必要があります。

1)生まれ持った脳や身体の性質が、偶然現代の学校教育に合っていた場合は、高学歴になっている可能性があり、簡単すぎた場合は、早々に興味を失って興味のある分野に没頭し、知能の高さの割に低学歴になっている可能性がある。

2)生まれ育った家庭環境などが良く、学生時代に教材の種類が豊富にあり、学校や塾や予備校や家庭教師など、自分に合った先生や学習方法を選べた場合は、成績や学力偏差値が上がった経験を持っている可能性がある。

そして、上記2点のうち、2つ目の事実については特に考慮する必要があります。

学生時代に勉強で成績が上がった経験のある人というのは、「自分の脳や身体の使い方がわかっている人」という事ができます。

自分の脳や身体の特徴を把握しており、どれくらいの期間、どのようなリズムで、どの時間帯に、どのような環境で、どのようなやり方で学習すれば伸びるのかがわかっています。

ところが就職すると、会社が決めた教育係と教育手法に限定される事が多く、選ぶ事ができません。

そうすると、会社が決めた教育係や教育手法と偶然相性のよい従業員だけが、やる気が満ちたり成績が伸びたりする事になります。

これは、新人教育期間が終わり、配属された先での上司との相性や仕事の進め方についても同様です。

このような学生と社会人のギャップを認識していない教育係や上司というのは、

「学歴は、仕事ができるかどうかに関係ない」
「結局は本人のやる気次第」
「最後は本人の努力がものをいう」

などのように、誰かの受け売りのセリフを唱え続ける低レベルな認識から何時までも抜け出せず、日常において端々の態度からブラック気質がにじみ出るようになります。

本来は、

「この従業員の能力を引き出せない今の自分や会社のやり方には足りないものがある」

という意識を持つ必要があるのです。

ギャップを埋めようとする意識

学生と社会人のギャップを認識し、埋めようと意識する場合、会社では学生ほど教材、時間、環境などの自由度が取れない代わりに、コーチングに関する様々な分野の知見が意識的に盛り込まれます。

盛り込む知見の種類は企業の状況や目的によって様々ですが、概ね次のような共通点が見られます。

・早い時期に多くの部署で研修があり、多くの先輩や上司と関わらせる
・週1回以上の高頻度で上司と1対1の面談がある(他人に聞かれない場所で面談し、プライバシーは確保されている)
・個人の性格や能力を何らかの知見によってタイプ別に分け、人や教育法との相性を把握し、選択適用して様子を見る
・部署によっては研修時から勤務時間にフレックスタイム制を認める
・研修の課題にゴールを設定する場合、ゴールが複数ある
・研修終了時に、研修内容についてアンケートをとり、次に活かしている

組織構造

組織構造は、そこに所属する人間の感情や行動に強く影響します。

従業員個人の性質に見える能力や行動が、実は組織構造が原因で獲得された性質である事がよくあります。

全く同じ仕事でも、部署が変わったり、上司が変わったり、会社が変わったりするだけで、人は別人のように変わります。

本人にも自覚がなく「自分はこういう性格なんだな」と思っているものが、実は組織の影響で獲得された性格であるという事は、組織に属している全ての人に起こっています。

ブラック化しやすい組織に所属している人は、知らず知らず自分もブラック気質になっています。

ここでは、

・ブラック化しやすい組織モデル
・ブラック化しにくい組織モデル

をそれぞれ説明します。

ブラック化しやすい組織モデル
典型的な重層組織(官僚的な組織)

典型的な重層的組織(官僚的組織・ヒエラルキー型組織)

これまでの伝統的な組織は、重層的な縦割り組織でした。

「官僚的組織」または「ヒエラルキー型組織」とも呼ばれ、ピラミッドの形で表現される事もあります。

上の画像は、重層的組織の一つである「事業部制組織」を単純化したものです。

事業部制組織は、日本の上場企業の多くが採用している、極めて一般的な組織形態です。

特徴を挙げると、

・役員が全社的な意思決定をする
・事業部長にある程度の意思決定権限を与えて自立運営させ、事業部ごとに競争意識を生む
・以下、各部、各課ごとに仕事を割り振る
・部署ごとに垣根がある
・複数の従業員に、上長は一人

というものになります。

重層的組織には以下のような悪い慣習が起こる傾向があります。

・権限が分散する
・会議が多い
・「縄張り意識」が発生する
・出世とは異動すること
・勤務時間外の負担が多い
・上層に行くほどバイアスが強くなる
・現場から活気が失われる

それぞれ、順番に説明します。

権限が分散する

各階層ごとに権限が分散するので、権力のないものが人を動かそうと思うときには、強い「ルール」を課さなくてはならなくなります。

ルールを強く課される事で、現場は人間的な創造性を発揮できなくなります。

現場レベルでの自由裁量権が少ないので、やる気が削がれます。

柔軟性と意思決定のスピード感に欠け、そのストレスを末端の従業員が負うことになり、ストレス過多によって心身へ不調をきたすリスクが高まります。

会議が多い

各階層や規模ごとに会議を設定する事になる為、必然的に会議が増え、同じ内容の話し合いを何度も行う事になります。

会議に臨む前の「根回し」や、上司を説得する為の「プレゼンテーション」に労力を費やす為、本来の生産性に向かうタスクにかける時間が取れなくなります。

やがて会議や人脈を作ることが主な自分の仕事だと錯覚するようになり、現場感覚が失われ、現場の職能に対するリスペクトが薄れていきます。

「縄張り意識」が発生する

事業部ごとの「縄張り意識」が、各部署や末端の社員にまで波及し、タスクが属人化するので、有給休暇などを取りたい時に取れなくなります。

協力意識よりも競争意識が強いので、仕事で「恩の貸し借り」ができます。

仕事の優先順位が、社会的な利益や組織的な利益よりも、個人に対する義理や好き嫌いなどの感情起因に傾倒します。

「感情起因に傾倒」、すなわち「理性が効かなくなる」ことがパワハラの発生確率を上げます。

出世とは異動すること

花形部署などへ異動する事が目的となり、仕事の本質への興味が失われます。

従業員を評価するにあたって、個人の生産性や職能の高さにフォーカスされなくなり、自己アピールや根回しに長けた人ばかりが評価されます。

どんな現場にも、職能への興味を失わず、昇進よりもスキルを磨く事にやりがいを見出すような職人気質の人が、一人はいるものです。

頑固な性格である事が多く、自己アピールする事は美学に反するのであまり行いませんが、現場の従業員達の間では一目置かれ、縁の下の力持ちとなり、会社を支えているような事が多いです。

しかし、そんな職人気質の人が、部署に異動してきたばかりで素人の管理者と相性が悪いと、「腫れ物」や「目の上のたんこぶ」のような存在として認識されたり、表面的には尊重する姿勢を見せるものの、管理職限定の飲み会などでこっそり「万年平社員」などと揶揄され、不遇の扱いを受けている事があります。

勤務時間外の負担が多い

希望の仕事や立場を得たい場合、社内行事への参加や、酒、タバコ、ゴルフなどの趣味を介した権力者との交流に時間をかけなければならなくなります。

偶然相性のよい上司や取引先と巡り合い、勤務時間外の活動によって仕事がうまく回り始めると、勤務時間外の活動に対する抵抗感が薄くなっていきます。

自分が1日8時間戦うサラリーマンである事を忘れ、24時間戦うビジネスマンであるかのように錯覚します。

そして、自分が昇進などして部下を持つ立場になると、相性のよい部下にも同様の負担を求めるようになり、連鎖していきます。

上層に行くほどバイアスが強くなる

上層に行くほど自由裁量権が増えていくので、自分の周囲に「意思決定の予測が難しい」人がいると不安を覚えてしまいます。

その為、同じ人種、同じ性別、同じ学歴、同じ趣味、同じ顔つき、同じ体型など、無自覚に自分と同質性の高い人を配置するようになり、似た者同士で接触する事が多くなるので、バイアス(思い込み、先入観、思考の偏り)が強くなります。

これにより、同質性の低い部下や従業員との乖離が強くなり、人を思い通りに動かせなくなっていきますが、その原因を部下の能力の低さと勘違いしてしまうか、自分は部下達とは違い努力してきたから出世できたのだと自画自賛するようになってしまいます。

異質な人が出世してくると、その人個人の意志や能力ではなく、異質性にばかり注目してしまいます。

例えば、以下のような事が起こります。

・男性役員が5人いる中に女性が1人参画すると「女性目線ではどう見える?」などと意見を求めたりして、個人としてどう見えるかという質問をしないといった事が起こります。

・「あなたの仕事ぶりが、今後社内での女性達の活躍の道標になるんだよ」というように、個人ではなく女性全体の出世の責任を負わせるかのようなプレッシャーをかけます。

・飲み会などで男性ばかりのグループに女性一人の状況になると、わざと猥談などを持ち出して、女性が異質性を示さないか確認し、自分たちの仲間として相応しいか試します。そうしておいて、本人が嫌がっていないのだからセクハラではないと考えてしまいます。

このように、異質性を排除する事でバイアスが強化され、組織をブラック化に導くリスクを増やしてしまいます。

現場から活気が失われる

現場のタスクを「標準化」「マニュアル化」「ルール化」することにより、「誰でもできる」仕事と決めつけ、従業員を安く使うようになります。

利益を生み出すタスクを実行している現場従業員の「熟練」に対するリスペクトが失われます。

コストカットで人件費に手を付けるようになります。

管理職手当をもらっていない平社員が、非正規職員を管理する立場になります。

また、現場があまりにもマニュアル化されすぎて柔軟性がないと、現場の従業員や現場監督者のストレスが強くなります。

日常業務のちょっとした工夫が認められないと、業務改善の意識も低下し、やる気も失われるので、よりルールを厳しくする事で生産性を維持しようとします。

ルールを厳しくすると一時的に生産性が向上して成果が出たように見えてしまいますが、居心地の悪い職場に長く人は残らず、人材が流動的になるので、長期的に見ると生産性は悪化します。

 

いかがでしょうか。重層的組織には以上のような悪い慣習が起こる傾向があるのです。

また、これに加えて「事業部制組織」の場合には特に下記のような事が言えます。

・そもそも「事業部制組織」を採用した目的を忘れる
・「プロジェクト」を活かせない

それぞれ、詳しく説明します。

そもそも「事業部制組織」を採用した目的を忘れる

そもそも「事業部制組織」を採用する目的は「巨大化した企業が、現場の状況に合わせて柔軟で迅速な意思決定を行いたい」というものです。

意思決定の権限を、必要に応じて経営陣から現場に近い事業部長に委譲することでその目的を達成するのが「事業部制」です。

他の組織形態から事業部制へ移行したばかりの頃は、その効果を実感できるでしょう。

ところが数十年もの間「事業部制」のまま組織形態を変えない企業は、単にトップの権限が役員と事業部長で分散しているだけの、より重層化しただけの組織になってしまいます。

現場の職能がある人よりも、上を忖度するのがうまい人が出世して事業部長になるので、数十年も経つと、現場感覚での柔軟で迅速な意思決定は失われているのです。

「プロジェクト」を活かせない

「プロジェクト」とは、一つの目的の為に期間を定めて集められる一時的な組織の事です。

80年代の米国企業でプロジェクトが発案された当時の目的は、「部署の垣根を越えて、目的に合わせて人材を適材適所で活用する」というものでした。

プロジェクトが採用された米国企業では、どのようなイノベーションが起こったでしょうか。

それまで「垣根の高い縦割り組織」で出世経路が限られていた従業員達が、プロジェクトによって他部署の管理職などと繋がりを持つ機会が増え、他分野の能力開発の機会も増え、出世経路や出世機会が増えました。

出世経路と出世機会が増える事で、従業員のやる気が喚起され、生産性が上がったのです。

ところがこのプロジェクトという手法が日本に入ってきた80年代は、学歴派閥と年功序列の給与制度が色濃く残る社会でした。

従業員が個人の意志でやりたいと思うプロジェクトに参加希望するというよりは、管理職の人間が気にする他部署への体面などの理由から「○○プロジェクトへ、うちから人を出す」という感覚で「他部署へ出しても恥ずかしくない人材」を選び、業務命令で参加を命じるという状況が発生しました。

その結果、日常業務も行いつつ、従業員の希望に関係なく命じられたプロジェクトの業務も行うというように、現場負担を増やす形となってしまったのです。

たまたま上司と相性が悪く成績が伸び悩み自信を持てないでいる従業員が、プロジェクトによって相性のよい人物と巡り合い生産性とやる気を向上させる、といった活用はされませんでした。

プロジェクトは「個人の能力を引き出す為の施策」ではなく「従業員を都合よく使い回す為の施策」になってしまい、従業員の過重労働を助長する結果になってしまったのです。

ブラック化しにくい組織モデル
フラットな組織

フラットな組織

反対に、ブラック化しにくい組織モデルは、「重層」の反対、つまり「平坦」な組織です。

特徴を挙げると、

・役員と従業員との距離が近い
・従業員が複数のグループや上司と関わる
・現場での自由裁量権が多い
・役員と管理職の性別割合が、概ね男女同数

となります。

役員と末端従業員との距離が近い

中間管理職の層が薄く、末端従業員と役員との距離が近いのが望ましいです。

ここで言う「距離の近さ」とは、

・昇進の階段の少なさ
・物理的な近さ

の両方を意味します。

組織構造の比較

組織構造の比較

・昇進の階段の少なさ

昇進の階段の少なさについては、上の画像に示したようなイメージです。

「ブラック化しやすい組織」で示した「重層組織」と比べて中間管理職の階層が少ない事がわかると思います。

また、非正規職員が正社員と同様の仕事をし、対等な関係を築き、職能に応じて正社員や管理職への登用を積極的に行っている状況が望ましいです。

ただし、「昇進の階段の少なさ」とは、「昇進しやすい」という意味ではありません。

・昇進が絶対的な価値観ではないという前提がある
・若くても適材適所で管理職になれる
・職能の高い末端従業員がリスペクトされ、管理職より高給な場合もある

という意味です。

・物理的な近さ

物理的な近さについては、末端従業員の現場作業の空気感をリアルタイムに感じられるほどデスクなどが近い状態です。

(役員用の部屋に閉じこもって、管理職からの耳障りのよい報告を受けるだけの状態のように「物理的な距離」が離れている場合は、昇進の階段が少なくてもブラック化しやすくなります)

また、日本生まれの某ハンバーガーチェーン店の社長が頻繁にお忍びで自腹を切って店を利用しているように、トップが現場感覚を忘れないように気をつける姿勢を持っている事も有効です。

一番タチが悪いのは、現場上がりで生え抜きの上役が、数年前の現場感覚のまま、今の現場状況を知らずにいる事です。

「自分は現場を知っている」という自負があると、リアルタイムに現場で起こっている状況の理解を阻害し、判断を誤らせます。

「自分の時はこうだったから、今もこうすれば上手くいく。上手くいかないのはアドバイスどおりにできない現場の能力が低いからだ。現場が育たなければならないのだ」

というような決めつけが起こりやすくなり、その評価態度が現場や現場監督者のストレスを増大させ、ブラック化に向かわせる要因となります。

このような要因を避けるためには、可能な限り役員などの上役が日常的に現場に近い場所に居る必要があるのです。

従業員が複数のグループや上司と関わる

一人の従業員が、複数のグループやプロジェクトに所属し、複数の上司と関わる状況が望ましいです。

複数のグループや上司と関わる

複数のグループや上司と関わる

こうする事で、意識的に以下のようなメリットを生み出します。

・一人の上司と関係が悪くなっても、いつでも別の上司を頼れる
・従業員一人に対する上司の負担が分散しストレスが軽減する
・一つの仕事で良い成果が出なくても、他の仕事で良い成果が出せる可能性がある
・部署間の垣根を低くし、競争意識よりも協力意識を強く持たせる

上記のようなメリットが、従業員一人ひとりに潜むブラック気質を抑制し、組織のブラック化を抑制します。

現場での自由裁量権が多い

ブラック化しやすい組織モデルでは、現場の「標準化」「マニュアル化」「ルール化」によってストレスを増大させる傾向がありましたが、ブラック化しにくい組織モデルはその逆です。

現場での自由裁量権が多いのです。

自由裁量権と男女同数

自由裁量権と男女同数

現場での自由裁量権が多いと、以下のようなメリットが生まれます。

・日常のちょっとした工夫が認められ、個人やグループの業務改善に繋がる
・自分の提案が認められ、周囲に影響する事で承認欲求が満たされる
・意思決定が早くなり、ストレスが減る
・柔軟な発想で急なピンチを乗り越える経験などをすると、自信がつく
・現場の一人一人に責任感が生まれる

上記のようなメリットが、従業員一人ひとりに潜むブラック気質を抑制し、組織のブラック化を抑制します。

役員と管理職の性別割合が、概ね男女同数

役員や管理職の性別割合は、組織の上層でも、現場に近い層でも、個々人の性格やふるまいに大きく影響します。

組織というものは、上層に行くほど自由裁量権が増えていくので、自分の周囲に「意思決定の予測が難しい」人がいると不安を覚えてしまうものです。

なので、トップに近い人々が何の知見も理念も持たずに組織を作ると、自然と同質性の高い人々の集まりになります。

その最たる例が性別です。

トップが男性だと、自分の周囲に権限を与えようと思うと「意思決定の予測がしやすい同質性の高い人物」で固めようとするので、役員も男性ばかりになってしまう傾向にあります。

そして、女性を配置したいと思う場合は、秘書など権限を与えなくて済むようなポジションに限定されます。

このような組織を作ってしまうと、同質性の高い者同士ばかりで重要な話し合いをするのでバイアスが強くなっていき、現場にいる異質性の高い従業員(女性)に対する偏見を無自覚に持ってしまいます。

また、役員や管理職に女性が少ないと、現場の女性達の出世意欲は低下し、上司との縦のつながりよりも、現場の従業員同士で横のつながりを大切にするようになります。

これは女性特有の性質ではなく、男性も同様に持っている性質です。

例えば、役員や管理職に体育会系でお酒が強く喫煙家が多い組織では、スポーツ未経験で下戸で嫌煙家の男性の出世意欲は低下します。

この組織内で頑張っても自分には勝ち目が薄いと直感的に悟ると、業務外活動や社外活動に楽しみを見つけ、縦のつながりよりも横のつながりを大切にするようになるのは、男女共通の性質なのです。

ところが、役員や管理職が男性ばかりの組織にいると、上記のような性質を見せるのが女性ばかりになってしまうので「女性特有のもの」と勘違いしてしまいます。

「男性は競争心が強いので立身出世の意欲が高く、女性は共感性が強いので横の繋がりを大切にする」

というような、実態とはかけ離れたもっともらしい傾向分析をし、性別が女性だというだけで「出世意欲が低い」と決めつけてしまうので、せっかく最初はやる気がある従業員でも、希望の仕事が他の従業員と重なる場合は男性に優先的に割り当てられ、女性は希望が通りづらいといった不利益を被ります。

権限を持つ人々の性別が偏ると、組織内で通用する論理も偏ってしまい
「結婚したら家に入るの?」
「子供を生んだら退職するの?」

など無自覚に女性を差別するような言動が発生する確率が高まります。

その逆である「役員と管理職の性別割合が、概ね男女同数」である組織の場合は、勢力が拮抗する事でバイアスが弱まる構造であり、性別による偏見や差別も発生しにくくなります。

男性も育児休暇や介護休暇などを取得しやすい空気を醸成し、セクハラを発生させ難くします。

※ここまでの組織構造や性別に関する考えは、著者の経験を踏まえつつ、ロザベス・モス・カンター著「企業のなかの男と女」(Rosabeth Moss Kanter “Men and women of the corporation”)を参考に記述しました。

有給休暇

先輩や上司などが頻繁に有給休暇を取得し、その事を公表している状況が望ましいです。

そして、有休を取得する際には「理由を言わなくてよい」のが正しい在り方です。

ブラックな職場では、「妥当な理由がないと有給取得を認めない」ケースがよくあります。

また、ブラックな職場では業務が属人化している事が多いので「貴方がいないと業務が回らないから、〇〇の時期の有休取得はありえない。周りに迷惑をかけるな」という無言の圧力がかかっている事がよくあります。

そういう職場では、忌引休暇の時にまで業務の不明点を電話やメールで確認してくるので注意しましょう。

【就業中】視野を広げ多様な価値観をもつ【環境や気持ちをコントロールする】

「外からはわからなかったが、運悪くブラックな職場に就職してしまったようだ」
「配属先の上司がブラック気質だった」
「初めはホワイトだったのに、社長が変わってブラックに変わってしまった」
「辞めたいのに事情があって辞められない」

こんな場合に有効な対処方法は、下記のとおりです。

・複数のグループに入る
・社外とも繋がる
・社内評価より社外評価

いずれかが実行できると貴方の助けになるでしょう。

ただ、既にこれらを実行する余裕もない場合は、この章はスキップして「【退職】苦しければ逃げる【決断のタイミング】」を読むことをおすすめします。

それでは、順に説明していきます。

複数のグループに入る

まずは社内で、可能な限り複数のグループと関わりを持てるように振る舞ってみるとよいでしょう。

SNSなどを通じて他部署に散らばった同期と積極的に情報交換をしたり、勉強会や委員会活動などがあれば参加してみます。

顔見知りを増やし、一つの部署内で孤立する事を防ぐことで、精神的にも余裕が生まれます。

相性の良さそうな上司を見つけられれば、異動の希望を出してみても良いでしょう。

社外とも繋がる

1日のうち、ほんの数分でもよいので、社外に繋がりを作れると、それが救いになる事があります。

できれば話の合う同じ趣味の仲間を探せると良いでしょう。

今はSNSがあり、同じ趣味の仲間を探しやすい環境にあります。

また、同じ業界の他社の人とも繋がれると良いでしょう。(競合他社の人などと繋がる場合は情報漏えいに気をつけてください。)

同じ業界でも企業によって全く違う文化を持つ事がわかるはずです。

例えば「お前そんなんじゃ、どこ行っても通用しないぞ」というような言動がいかにバイアスのかかった視野の狭い言葉なのか実感できると、ブラック上司のパワハラ発言を良い意味で無視できるようになります。

社内評価より社外評価

「花形部署」は社内のみに通用する価値観であり、社外に出ると意味がありません。

役職もご近所付き合いなどでちょっとした話の種としては使えるかもしれませんが、転職時には(ヘッドハンティングでもない限り)役立つ事はほぼありません。

社外の人にとっての貴方の価値を表す指標は、資格と実務経験です。

業務後の貴重な時間と体力を社内コンテストに費やすよりも、早く帰宅して資格の勉強をしてポータブルスキル(社外でも通用するスキル)を身につける方が有意義です。

また、ブラック企業では下記のような事例も枚挙に暇がありません。

・手柄を先輩や上司に横取りされる。
・不当に成績を悪く変えられる。
・当初の話とは違う評価制度を適用されて評価を下げられる。
・契約社員や派遣社員に正社員登用をちらつかせて頑張らせておきながら、時期が来ると切る。(「登用したいのはやまやまなんだけど、状況が変わったんだよ。わかってください。」などとミエミエの言い訳をする。)

社内評価などというものを見る時は、自分の能力を表しているのではなく、「会社が自分をどう扱おうとし、どう評価しようとしているのか」という程度のものだと思うと良いでしょう。

【退職】苦しければ逃げる【決断のタイミング】

苦しければ逃げましょう。

最も大切なのは「苦しさの基準は主観で決めてよい」という事です。

貴方の苦悩は貴方にしかわかりません。

我慢強さを他人と比べる事に意味はないのです。

同僚との約束、恩着せがましいブラック上司の態度、家族の期待など、様々なしがらみが退職を躊躇させるかもしれません。

情が厚い人や責任感が強い人は、同僚に迷惑がかかる事などを考えて気に病むかもしれません。

またはプライドが退職する自分を恥じるかもしれません。

しかし、そこで躊躇すればするほど、自分でも気づかぬうちに状況は悪化していきます。

貴方の心身は、貴方が思うほど強くない事もあるからです。

「石の上にも三年」という諺は、どんなに嫌なことでも3年は我慢して続けなければならないという意味ではありません。

石の上に座りたい人(悟りを開きたい人)は、途中で辛い時期が必ず来るが長年座り続ければいつか成功する(悟りを開ける)かもしれないという意味なのです。

「石の上にも三年」とは、言わば筋トレによる筋肉痛のようなものであって、虐待による流血に耐えることではないのです。

退職させないタイプのブラック企業の場合は、退職代行を使うという手段もあります。

取り返しのつかない事になる前に、苦しければ逃げましょう。

【退職後】自己肯定感を大切にする【レジリエンス(心身の回復)】

真面目な人ほど、逃げるような退職によって自信が失われると、自己肯定感の低さが苦悩を増大させます。

それまで自分に自信を与えていた「名刺」「年収」「職能」「同僚との繋がり」などが一瞬で失われてしまい、転職活動で足かせになるようにすら思える頼りない「職歴」だけが残るからです。

そして、「立派に働かなければならない」「同期との競争に勝ちたい」「家族の期待に応える自分」などの『あるべき姿』と、現在の自分の姿との間で落差を感じるようになります。

この落差が苦悩を生みます。

自己肯定感が低いと退職が苦悩を生む

自己肯定感が低いと退職が苦悩を生む

自己肯定感が低いと、心身が回復するまでに時間がかかります。

なぜなら、以前と同等かそれ以上の自信をつけるまではずっと苦しみ続けるからです。

つまり、以前の会社よりもネームバリューのある企業に入るか、以前の年収を超えるか、難関資格を取るなどして高い職能を得るか、新たな職場で良い仲間に巡り合うかして、『あるべき姿』の高さに至る必要があるからです。

この苦しみは、多くの場合、新たな就職先が見つかり働き始めるだけでは癒えず、そこからさらに長い年月を要します。

しかし、この苦しみからもっと早く回復する方法が存在します。

それは、「自己肯定感を大切にする」という方法です。

自己肯定感とは

自己肯定感とは、自分の『ありのままの姿』を肯定する感覚のことです。

自己肯定感『ありのままの姿』を比較しない

自分を義務や期待や他人と比較せず、『ありのまま』存在する事が許されている

『ありのままの姿』とは、誰かから値踏みや評価される事のない、見たままの自然な姿です。

社会的地位や、お金をどれだけ持っているか、家族や友人関係、住んでいる場所、誰かに評価された事などを除く、自分自身の自然な姿のことです。

「義務を果たさなければならなかったり、他者の期待に応えたりしなければ、ここに存在してはいけない」というような強迫観念がなく、「ありのまま、ここに存在を許されている」「失敗しても大丈夫」「自分は自分の思うがままに生きていて大丈夫」という安心感に、無自覚に包まれている状態を言います。

『あるべき姿』を捨て、「ありのまま、自分の思うがままに生きて大丈夫」という感覚を大切にする事で、苦しみから自分を開放し、素早く心身を回復させる事ができます。

このように、強いストレスなどから心身を素早く回復する能力の事を『レジリエンス』と言います。

レジリエンスとは

レジリエンスとは、元々は物理的な意味での「弾力」を差す言葉です。

ゴムボールを押して凹ませても、弾力があるのですぐ元に戻ります。

外から力を加えられて歪んでも、自然と元に戻ろうとする性質。

これがレジリエンスです。

転じて、心理学用語で使われる際は、社会的に不利な状況にあったり、強いストレスに見舞われた時に、自分をうまく対応させたり、心身を素早く治癒させたりする事のできる個人の能力を差します。

レジリエンス

レジリエンス

自己肯定感がある者は、自己肯定感が低い者よりもレジリエンスが高くなるのです。

※心理学者の小塩真司さん、中谷素之さん、金子一史さん、長峰伸治さんによる研究結果「ネガティブな出来事からの立ち直りを導く心理的特性―精神的回復力尺度の作成―」では、自己肯定感より広い意味の「自尊心」という言葉で説明されています。「自尊心が高い者は、自尊心が低い者よりもレジリエンスが高い」

自己肯定感を大切にする為の方法論としては、↓の記事がお役に立てるものと思います。

自己肯定感とは?自信との違い
このページでは、自己肯定感と自信の違いを解説します。自己肯定感と自信について正しく理解することは、生きやすさに繋がります。他者によってつくられた『あるべき姿』ではなく、『ありのままの姿』の延長線上にある『理想の姿』を思い描いて生きましょう。

まとめ

ここまで大変長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。

ブラック企業の定義に当てはまる組織だけではなく、ブラック企業になる可能性のあるブラック気質や組織構造を把握し、状況別に【就活】【インターンまたは入社後】【就業中】【退職】【退職後】での対処方法をご紹介しました。

ブラック企業から身を守るだけでなく、自分がいつのまにか、無自覚にブラック化して人や家族を傷つけることの無いように、気をつけていける人が増えれば良いなと、自戒も込めて願っています。

自己肯定感に興味のある方は、↓の記事もおすすめです!

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