やさしさとは何か1〜おもいやりの7段階サイクルと4大要素〜

やさしさの4大要素 経験談
やさしさの4大要素

子供の頃、周囲にいる大人(親、祖父母、幼稚園や学校の先生など)に、よく言われた言葉があります。

それは、

自分がされて嫌だと思うことを人にするな

です。

でも、私が嫌だと思うことを周囲の人々からよくされていましたし、私がしてほしい事や、されても平気なことを周囲の人々にすると嫌がられるので、いつも不思議に思っていました。

 

私はずっと、家族や世間の人たちとの感覚のズレに悩まされてきました。

心が病んでいる時期が長かったので、ほとんどの場合「私の方が頭がおかしいのだろうな」と考えていました。

たまに心が回復して元気になると「ひょっとしたら私がおかしいのではなく、世間の人達の方がおかしいのでは?」と考えることもありました。

ずっと苦悩していたところに、ここ数年webやテレビなどで「発達障害」と言うキーワードを頻繁にみるようになりました。

興味を持った私は、手始めに「発達障害」の提唱者を調べ、次のような本を図書館で探して読みました。

・ローナ・ウィング著『自閉症スペクトル―親と専門家のためのガイドブック』Lorna Wing “Autistic Children: a Guide for Parents”

・ハンス・アスペルガー著『治療教育学』Hans Asperger “HEILPAEDAGOGIK”

そして、発達障害とは異なるようですが、関連書籍としてHighly Sensitive Person(HSP)に関する次のような本も読んでみました。

・エレイン・N.アーロン著『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』 Elaine N. Aron “The Highly Sensitive Person: How to Thrive When the World Overwhelms You”
また、脳の発達傾向に関連して、
・サイコパシー
・放火癖
・小児性欲
などにも興味を持ち、様々な書籍や記事や論文を読みました。

そして、SNSで発達障害を公表している人達の日常のつぶやきを見たり、今まで出会ってきた人達の言動を思い出したり、現在仕事でやりとりのある人たちを観察しているうちに、むくむくと一つの考えが思い浮かびました。

感覚は人によって違うのだから、「自分がされて嫌だと思うことを人にするな」という教えはまちがいなのでは?

「自分が感じることを、人も同じように感じる」ことが前提となっているこの教えには、欠陥があると思いました。

「やさしさ」を教えているようで、実際は、自分とは感覚の違う人を排除する、浅はかで冷酷な人の考えだと思いました。

そして、ほとんどの人はそのような考えに同意する自分の浅はかさと冷酷さに無自覚なのかもしれないと思いました。

 

そもそも「やさしさ」とは何でしょうか。

なんとなく理解しているようで、でも、うまく説明できないので、本当はよくわかっていないのかもしれません。

そこで、「やさしさ」についてちゃんと説明できるように、一度自分なりに真剣に考えてみようと思いました。

その答えの先に、感覚が違う人同士でも、良い関係を築くヒントがあるかもしれないと思ったからです。

 

このテーマは2部構成にする予定です。

今回の記事では、「やさしさとは何か」という疑問の答えを見つけるために、これまでの経験や見聞きしてきた知識を整理し、「やさしさ」を分類・分解して、理解を深めます。

そして、次回の記事では、健常者・サイコパシー・ASD・ADHDなどのような発達傾向ごとの違いにフォーカスして、それぞれの関係維持のために必要な「やさしさ」や「おもいやり」について考えていきたいと思います。

前置きが長くなりましたが、それでは、本題に入っていきます。

やさしさとは何か

「やさしさとは何か」について、考える手がかりを得るために、まずは近い言葉である「おもいやり」との違いから考えてみることにしました。

「やさしさ」と「おもいやり」の違い

「やさしさ」は、「さ」で終わる言葉なので、「長さ」や「太さ」と同じように量や尺度を表す言葉です。

つまり、「どれくらいやさしいか」という、やさしい行動をとるための能力の高さのことだと思いました。

やさしさ = やさしい行動をとるための能力の高さ
では、「やさしい行動」とは何か、という疑問が出てきますが、これは後ほど徐々に深堀していきます。

次に「おもいやり」ですが、これは漢字で「思い」を「遣る」と書くので、「相手を想像する心の動き」つまり、想像力のことだろうと思いました。

おもいやり = 想像力

「やさしさ」と「おもいやり」の位置関係を図解すると、次のようになります。

やさしさとおもいやりの位置関係

やさしさとおもいやりの位置関係

「やさしさ」をベースに、誰かに「思いを遣る」気持ちが生まれ、アクションが起こされます。

「やさしさ」は潜在意識であり、「おもいやり」はやさしさが顕在化された意識です。

そして、「おもいやり」をベースに、人や動物や物のために何らかのアクションが起こされます。

やさしさ(潜在意識)

おもいやり(顕在意識)

アクション(表現)

「おもいやり」の発信と受信

次は、「おもいやり」を受け取る側についても考えていきます。

人にはそれぞれ、五感や価値観などのフィルターがあります。

アクションからリアクションが作られるまで

アクションからリアクションが作られるまで

・例えば盲目の人なら、耳や肌などからアクションを受け取ることができますが、視覚的なアクションを受け取るのは困難です。(フィルター1)

・ヴィーガンにA5ランクの高級牛肉の贈り物をしても喜ばれません。(フィルター2)

フィルター2は、バイアス(思いこみ・思考の偏り)も差しています。

これらのフィルターを通過することによって、人物Aの「おもいやり」がそのままの形では人物Bに伝わらず、変化したり、増幅したり、減衰したりすることがわかります。

そして、人物Bの潜在意識に届くと「望んでいること」との照合が行われます。

照合結果を受けて、顕在意識に「喜び」や「悲しみ」や「困惑」などの感情が生まれます。

その感情が、表情筋や身振り手振りや声色などによって、そのままリアクションに反映されることもありますし、理性によって考え練られた演技や文章や作品などのリアクションによって変化して伝えられることもあります。

フィルター1(身体)

フィルター2(顕在意識)

望んでいること(潜在意識)

感情(顕在意識)

リアクション(表現)
リアクションの好き嫌い

リアクションの好き嫌い

そして、そのリアクションを受け取った人物Aにもフィルター1とフィルター2があります。

人物Aと人物Bのフィルターには違いがあるので、それぞれ相手のアクションやリアクションに対して好き嫌いが生まれます。

相性が良ければ仲良くできるでしょうし、相性が悪ければ良い関係を築くことが難しくなります。

 

ちなみに、人物Aの主観だけにフォーカスして全体を見渡すと、次のような図になります。

おもいやりの発信と、結果の確認

おもいやりの発信と、結果の確認

これは、認知心理学における「行為の7段階サイクル」からヒントを得て、今回のテーマに合わせてアレンジしたものです。

「行為の7段階サイクル」を先ほどの図に当てはめると、次のようになります。

行為の七段階サイクル

行為の七段階サイクル

「行為の7段階サイクル」についてより詳しく知りたい方は、

D.A.ノーマン著『誰のためのデザイン?』D.A.Norman “The Design of Everyday Things Revised and Expanded Edition”

がおすすめです。

 




 

「おもいやり」の4パターン

次に、私自身のこれまでの経験や、他人の様子を観察してきた中から、おもいやりが発揮される場面を思い出し、書き出してみることにしました。

すると、大きく4つのパターンに分類できると思いました。

・自分も似た経験をしたことがあるから、あの人の気持ちがわかる(共感)
・人の状況や気持ちを察して、自分がとってあげるべき行動を考える(推理)
・恩義のある人に報いる(恩の貸し借り)
・普段関わりはないけど、同じ人間として人助けをする(博愛)

これら、

・共感 sympathy
・推理 detective
・恩の貸し借り balance
・博愛 humanity
の4つを、一旦、「おもいやりの4大要素」と名付けます。
おもいやりの4要素

おもいやりの4大要素

「やさしさ」の4大要素

そして、「おもいやり」から、元々のテーマである「やさしさ」に考えを戻します。

「やさしさ」は、「おもいやり」を発揮するためのベースとなる潜在能力ですので、「おもいやりの4大要素」を、それぞれ次のように言い換えることができます。

・共感 sympathy → 感覚 sence
・推理 detective → 論理力 logic
・恩の貸し借り balance → 損得勘定 profit and loss
・博愛 humanity → 美学 policy
これを「やさしさの4大要素」と名付けました。
やさしさの4大要素

やさしさの4大要素

それでは、この「やさしさ(おもいやり)」の4大要素を一つ一つ、順番に説明していきます。

感覚(共感)

人は、生まれつき個体差がある生き物です。

性別、顔や体格、脳の特徴、成長や老化の速さ、神経の過敏さ、アレルギー、楽しいと思える瞬間など、あらゆる差があります。

つまり、人によって感覚が違うということです。

例えば、

・体の同じ部位を、同じ強さで叩かれても、激痛を感じる人もいれば、あまり痛みを感じない人もいます。

・大きな声で怒鳴られて、ショックを受ける人もいれば、全然へっちゃらな人もいます。

・同じ運動量や読書量でも、疲れ方が人によって違います。

・全く同じ仕事をしていても、やりがいを感じるポイントが人によって違います。

・健康によい睡眠の時間帯が、人によって違います。

・特定の生理現象や病気のように、人によっては一生経験しない苦痛もあります。

このような個体差が無数に存在する人間社会では、生まれつき特徴が似た人同士が集まり、共感しあい、仲良くなる傾向があります。

同じ悩みを抱える者同士だと、お互いの気持ちがわかるので、相手の求めている言葉や行動がわかり、おもいやりを示したり、受け取ったりできる確率が高まります。

 

逆に、感覚が異なる者同士では共感できないので、自覚なくおもいやりに欠いた言動をしてしまったり、勘違いして勝手に傷ついてしまうことがあります。

例えば、

・太りやすい体質で悩む人が、痩せすぎで苦しむ人に「いくら食べても太らないなんて羨ましい」などと軽い気持ちで言い放ってしまいます。

・背の高い男性は、背の低い男性の劣等感がわかりません。

・生理痛が軽い女性上司が、生理痛が重くて会社をよく休む女性の部下に、冷たい態度を取ります。

・マスクをしても平気な人が、マスクをつけられないほど顔が感覚過敏な人に対して、「マナー違反だ」などと糾弾する事例がコロナ禍でありました。

・嗅覚の鈍い人が、自分の口臭や体臭の異常に気づかずに、臭気を撒き散らします。

・「早寝早起きは健康によい」と盲信する人が、早寝早起きで健康を損なう体質に生まれてきた家族に、早寝早起きを無理強いしてしまいます。

このように、感覚が違えば共感ができないので、無自覚におもいやりに欠いた言動をしてしまったり、相手の言葉の意図を勘違いして勝手に傷ついてしまうことがあります。

論理力(推理)

人は、他人が感じている楽しい気分や苦痛などについて、自分が未経験なことは共感できません。

しかし、喜んでいる表情や痛がっている仕草などを見れば、演技を疑わない限りどう感じているか把握することができる場合があります。

また、どのように感じるか説明されたり、知識を得たりすることで理解できる場合があります。

例えば、

・爬虫類を飼育して可愛がる人を見れば、自分は爬虫類が苦手でも可愛がる気持ちを否定せずに尊重することができます。

・尿路結石は「痛みの王様」と呼ばれていることを知れば、その病気の経験がなくても罹患者の体をいたわることができます。

・書籍やテレビやブログの体験談などで鬱病の多様な症状と苦悩を知れば、鬱病が未経験の上司でも、罹患してしまった部下に十分な休暇を許可して復帰を急かさない対応を選ぶことができます。

・お年寄りが横断歩道をゆっくり渡っている途中で赤信号に変わっても、イライラせずに渡り切るまで待つことができるドライバーがいます。

・ヘルプマークの意味を知っていれば、相手が若く健康そうに見えても、電車で席を譲ることができます。

・バリアフリーを考えるwebデザイナーは、色盲や全盲の人をテスターとして雇って意見を聞き、サイトデザインに反映させます。

このように、感覚が違う人でも、「知識」「観察」「推理」を駆使すれば、おもいやりを示すことができる確率が高まります。

ヘルプマーク

ヘルプマーク

逆に、普段から知識を集める習慣がなく論理的な思考力が弱い人は、想像力が欠如しているので、本人は「やさしい人間でありたい」または「やさしい人間と思われたい」と思っていても、多くの場面で人を「おもいやる」ことができません。

人を傷つけてしまっても、自分の行動に悪気がないため「おもいやり」の無さに無自覚な状態になってしまいます。

例えば、

・旦那がカブトムシを飼い始めたのに、バルサンを焚いて全滅させてしまった奥さんがいました。

・子供が苦手だという食べ物を無理やり食べさせようとする親がいました。

・ネット上で「鬱病は甘えだ」などと言い切って物議を醸す人がいました。

・発達障害の苦悩を語る人に「そんな程度の苦しみなら、誰にでもあるものだ」とわかった気になってしまい、本人の前で思ったことを軽々しく口に出してしまう人がいました。

「知識」を集める習慣がなく「観察」を怠り「推理」をする気がなければ、おもいやりを示せる確率が低くなります。

おもいやりには「共感」だけでなく「理性」や「知性」も必要なのです。

損得勘定(恩の貸し借り)

人は、関係を築くメリットがあると感じる相手にはおもいやりを示します。

そして、おもいやりを示してくれた相手には恩を感じ、おもいやりで返そうとする傾向があります。

例えば、全く見ず知らずの相手よりも、

・家族や親族
・クラスメイト
・友人
・職場の同僚や上司

などのような知り合いの方が、良好な関係を継続するメリットがあるので、おもいやりを示す確率が高まります。

さらに、知り合いの中でも、

・ケンカが強い人
・権力者や権威者
・有名人
・美人やイケメン
・お金持ち

には、良好な関係を継続するメリットが高いので、おもいやりを示す確率がさらに高まります。

 

逆に、メリットがなかったり、恩を売っても返してくれなさそうな相手には、おもいやりを示す確率が低くなります。

恩を売ることでデメリットが生じると思う場合は、さらに低くなるでしょう。

例えば、

・都会の喧騒で、困った様子で道ゆく人々に助けを求める人がいても、ほとんどの人は詐欺を警戒し、関わりたくないので無視します。

・ギャンブル好きの人に「お金を貸して欲しい」と言われると、今後の付き合いを考えます。

・クラスでいじめ被害者を不憫に思っても、助けると今度は自分がターゲットになるかもしれない不安があると助けることができませんし、逆に「いじめられる奴にも問題がある」と言うように、助けない自分を正当化し安心しようとします。

・美人やイケメンや上司やお金持ちなどにはやさしくしますが、そうでもない人には明らかにおもいやりに欠いた、落差の大きい振る舞いをする人がいます。

このように損得を天秤にかけて損が大きいと判断すれば、人はおもいやりを示さない判断を下すことがあります。

その判断スピードはとても早く、自覚的に計算高く行われることは稀で、ほとんど無意識に、生理的な反射神経で行われます。

美学(博愛)

人は、恩の貸し借りとは無関係に、全くの赤の他人に見返りを求めることなく、おもいやりを示せる場合があります。
例えば、

・貧困国の子供へ、食糧や医療支援のために、寄付をします。

・戦場で敵味方を問わず、怪我人を看護します。

・災害現場にボランティアに行きます。

・道端で倒れている人に声をかけて救急車を手配します。

・駅のホームから転落した人を、危険を顧みずに救助します。

・渋滞で隣の車線から入ってくる車に、前を譲ってあげます。

・迷っている人に道を教えてあげます。

・ホームレスに炊き出しを行います。

・事故現場に献花します。

・橋から身を投げようとする人を説得します。

などです。
人ではなくても、動物や植物や昆虫などにもおもいやりを示すことがあります。

・人工物に挟まって動けなくなった野生動物を助けます。

・岸に打ち上げられた鯨やイルカを海に返します。

・保健所に収容されたペットを引き取って里親になります。

・アスファルトのひび割れから生えたタンポポに水やりをします。

・屋内に迷いこんだ虫を捕まえて、殺さずに窓の外に逃がしてあげます。

生き物以外にも、おもいやりを示すことがあります。

・人の目に触れない場所でも、山や川や海岸でゴミ拾いをします。

・お地蔵様に積もった雪をはらって、笠をかけてあげます。

・ぬいぐるみや人形を修復することを、治療と呼びます。

・着られなくなった衣服を、修繕して綺麗に折り畳んでから、感謝の気持ちをこめて捨てます。

このように、それぞれの価値観や美意識などによって、博愛精神が高い人ほど、おもいやりを示す機会が多くなります。




 

「やさしさ」の振り分けと相性

世の中には、単純に「やさしい人」と「やさしくない人」がいるかのように錯覚します。
グラフで表現すると、下のようなイメージを通常は持つと思います。
「やさしい人」と「やさしくない人」の違いの通常イメージ

「やさしい人」と「やさしくない人」の違い?(通常イメージ)

しかし、これはおそらく間違いで、人が持つ「やさしさ」の総量に差はない、と言うのが私の考えです。
先ほど示した4大要素の振り分けが人によって異なるだけなのです。
例えば、総量を20とした場合、
やさしさの振り分け例1

やさしさの振り分け例1

上のように、「感覚」と「損得勘定」に大きく振れている人もいれば、
やさしさの振り分け例2

やさしさの振り分け例2

上のように、「論理力」と「美学」に大きく振れている人もいるのだと思います。
個人個人で「やさしさ」の振り分けが違うので、
・感覚が違う人の思いやりは伝わりにくい
・論理力が高い人のやさしさは、論理力が低い人には理解されない
・損得が一致しない人のやさしさは、迷惑になる
・美学が合わない人のやさしさは、醜く見える
というようなことが起こり、相性の良し悪しが生まれ、「やさしい人」と「やさしくない人」をお互い主観的に評価し合っているのだと思います。
下の振り分けのように、2人の重なる面積が狭い場合は、相性が悪くなります。
やさしさの違い・相性が悪い例

やさしさの違い・相性が悪い例

逆に、下の振り分けのように、2人の重なる面積が広い場合は、相性がよくなります。

やさしさの違い・相性が良い例

やさしさの違い・相性が良い例 

特徴と分類

「やさしさ」の振り分けには、次のような特徴があります。

・感覚と論理力(上下)はトレードオフの関係にあり、一方が高いともう一方が低くなります。

・損得勘定と美学(右左)はトレードオフの関係にあり、一方が高いともう一方が低くなります。

そして、やさしさは、先天性と後天性に分類できます。
やさしさの先天性と後天性

やさしさの先天性と後天性

先天性

感覚
人は生まれつき感覚の違いがあるので、感覚は先天性に強く影響されるやさしさです。
怪我や病気など、後天的な影響によって感覚が変化することも稀にありますが、しかし基本的には生まれつきの感覚がベースとなるので、先天性の方が色濃く影響するでしょう。
例えば、男性は男性にしか、女性は女性にしか、トランスジェンダーはトランスジェンダーにしかわからない特有の感覚が、それぞれにあります。
損得勘定
美人やイケメン、身なりの良し悪し、ケンカの強さなど、五感を通して印象で判断される損得勘定は先天性に強く影響されるやさしさです。
お金や権威など、後天的に獲得される価値観によって損得が変化することもありますが、しかし後付けの知識よりも生理的な印象の方が生物の原始的な欲求に近いので、先天性の方が色濃く影響するでしょう。
例えば、若い人たちばかりのグループに一人だけおじさんが混じっていれば、よほど尊敬を集めたりお金を配ったりなどのメリットがなければ、気分の問題で追い出されてしまいます。

後天性

論理力
育った環境によって、後天的に獲得される知識や論理力が人によって違いがあるので、論理力は後天性に強く影響されるやさしさです。
生まれつきの頭の良さ(IQ)など先天的な影響もありますが、しかし生まれてくる時代やコミュニティや身近にいる人々の質によって得られる知識や習慣も異なるので、後天性の方が色濃く影響するでしょう。
例えば、中世のキリスト教国同士の戦争では教会に逃げ込んだ人々を襲いませんでしたが、バイキングは教会でもかまわず襲撃して略奪しました。
美学
博愛や人権や平等など、後天的に獲得される価値観が人によって違いがあるので、美学は後天性に強く影響されるやさしさです。
潔癖さや知的欲求の強さなど、先天的な性格の影響もありますが、しかし生まれてくる時代やコミュニティや身近にいる人々の質によって得られる価値観も異なるので、後天性の方が色濃く影響するでしょう。
例えば、「家族にありがとうは恥ずかしくて言えない」という時代に生まれてきた世代と、「ちゃんと気持ちは言葉にしないと伝わらない」という時代に生まれてきた世代では、家族のコミュニケーションが根本的に違います。

まとめ

さて、ここまで「やさしさとは何か」という疑問の答えについて、私なりの考えを述べてきました。
改めてまとめると、まず、
・「やさしさ」とは「やさしい行動をとるための潜在能力の高さ」
です。そして、
・「やさしい行動」とは「相手の望んでいることを想像し、起こされたアクションが、相手に届いた時に、良い感情を引き出しリアクションさせるもの」
です。
アクションが相手に届く際には、
・五感や価値観などのフィルター
を通ることで、おもいやりの変化や増幅や減衰が起こります。
五感や価値観は人によって異なりますし、また、やさしさや望んでいることなどの潜在意識も人によって異なるので、人間関係には相性が生まれます。
・「やさしさ」に関する潜在意識は、「感覚」「論理力」「損得勘定」「美学」の4要素によって構成されています。
この4要素の振り分けが人によって違うので、近いもの同士の相性が良くなり、差があるもの同士の相性は悪くなります。
いかがでしょうか。
今回の内容をふまえて、次回は、人の発達傾向ごとの「やさしさ」と相性について考えていきたいと思っています。




 

コメント

タイトルとURLをコピーしました