自己肯定感の高め方?育て方?広まる誤解と対処方法

自己肯定感が高くなったり低くなったり 基礎知識
自己肯定感そのものが高くなったり低くなったり?

「自己肯定感が低い」という言葉があるので、「じゃあ、どうすれば高められるの?」「高め方は?」という疑問を持つ方は多いと思います。

その疑問に答えるように、ブログやSNSや書籍などで「自己肯定感の高め方」「自己肯定感の育て方」というハウツー記事が書かれているのも目にします。

それらに書いてある事の多くは、自己暗示であったり、良い習慣を持ったり、考え方を変えると言ったような、何か自主的に行動することで意図的に高めようとするものです。

ですが、それらは誤りです。

自己肯定感は「意図的に育てられるもの」「操作的に高められるもの」といった誤解が広がっています。

自己肯定感とは、意図的に育てたり、操作的に高めたりするようなものではありません。

ただし、「低い自己肯定感」を”回復”する方法は存在します。

自己肯定感の回復方法を正しく知る事は、日々の苦しみから自分を開放する為のヒントになります。

また、友人や家族が苦しんでいる時に、苦しみを軽減してあげたり、支え手助けする為の指針になります。

逆に不正確な回復方法を信じてしまうと、自分や友人や家族の苦しみに、さらに追い打ちをかけてしまう危険があります。

・会社や学校に行けない
・友達が作れない
・心を閉ざしてしまう
・長い年月を空虚と陰鬱に満ちた人生にしてしまう

これらの状況にならないよう、または少しでも回復の手助けとなるよう、詳しく説明していきたいと思います。

自己肯定感とは何か

「自己肯定感が低い」と言うと、まるで、人の中に「自己肯定感」があって、自己肯定感そのものが高くなったり低くなったりするかのような印象を受けると思います。

自己肯定感が高くなったり低くなったり

自己肯定感に対する印象

これが誤解の素となっています。

本当は、自分自身の『ありのままの姿』と、親や他人に期待されて作られる自分の『あるべき姿』を比べて、差を感じた時に芽生えてしまう”自己を否定する感覚”を持つことを「自己肯定感が低い」と言います。

自己肯定感が低い状態

自己肯定感が低い状態

「自己否定感が高い」もしくは「自己否定感が強い」と言い換えてもよいかもしれません。

自己否定感

自己否定感

『ありのままの姿』とは、誰かから値踏みや評価される事のない、あるがままの姿です。社会的地位や、お金をどれだけ持っているか、家族や友人関係、住んでいる場所、誰かに評価された事などを除く、自分自身の自然な姿のことです。

『ありのままの姿』は、年齢や経験によって常に変化しています。体だけではなく、精神的なことも含みます。

『あるべき姿』とは、要求される姿です。最低限「このような人間になっていなければならない」と、誰かに求められる姿です。

生まれたばかりの頃は、「よく寝て、よく食べて、元気に成長すれば良い」と望まれていたものが、いつしか「勉強で良い成績を取ってほしい」→「良い学校に進学してほしい」→「良い企業に就職してほしい」→「高収入を得てほしい」などと、年齢や周囲の変化によってどんどん高くなっていきます。  

 

自己肯定感が低い状態とは、自分の中で『あるべき姿』が高くなりすぎて、『ありのままの自分』を否定する感情が芽生えた時に出てきてしまうものなのです。

自己肯定感そのものが高くなったり低くなったりするのではなく、『ありのままの姿』と『あるべき姿』の相対的な関係から、自己肯定感は低くなるのです。

自己肯定感が低くなる仕組み

『ありのままの姿』と『あるべき姿』の差が大きくなっていく

『あるべき姿』が高くなるほど、自己肯定感は低くなります。
しかし、『あるべき姿』が低くなっても、自己肯定感は高くなりません。

自己肯定感とは、『ありのままの姿』を許し、受け入れる感覚です。
自己肯定感という言葉を作った高垣忠一郎さんは「自分が自分であって大丈夫」「あるがままの自分を受容する」という言い方をしています。

「良い子でなければここに居られない」
「テストで良い点を取らないと遊ばせてもらえない」
「可愛くてオシャレじゃないと仲間に入れない」
「年収が高くなければ相手にされない」

こう言った、条件付きでそこに存在する事を許されるような感覚とは違い、

”何か特別な事をしなくても、できなくても、無条件で自分はここに居ていいんだ。ここにいることを許されているんだ”

という事を、意識することなく、自然と持ち合わせている感覚。

「心の奥底に、自然とそこにあり、静かに自分を支えるもの」これが自己肯定感なのです。

損なわれる事や、低くなる事はあっても、目立つようにそびえ立って、高くなるような事はないのです。

自己肯定感が低くなった事がない人は、自分の中にある自己肯定感を意識する事はありません。

なぜなら、空気のように自然と、当たり前にそこにあるものだからです。

自己肯定感が低くなる原因

自己肯定感が低くなる原因には、次のようなものがあります。

・原因1:真面目で優しく責任感がある
・原因2:好きなものを否定される
・原因3:寂しい思いをする

それでは順に説明していきます。

原因1:真面目で優しく責任感がある

真面目で優しく責任感がある人ほど、親や周囲の期待に応えようとし、『あるべき姿』を高くしてしまいます。

高くなってしまった『あるべき姿』に近づこうとしても、『ありのままの姿』の上に、努力で積み上げたものがなかなか追いつかずに、苦悩してしまうケースがあります。

差を埋められずに苦悩する

差を埋められずに苦悩する

最近多い例で言えば、就職氷河期世代が挙げられます。

就職氷河期世代は、親世代に比べて収入が低い人が多いです。

「やりたい仕事」や「希望の職種」に就くことができず、「入れる会社」にやっとの思いで就職し、不景気から新人教育に回される予算も少なく、教えてくれるはずの先輩や上司も業務過多でいつも疲れた姿を見せられる為、頑張って出世してもああなってしまうのかと好ましい自分を思い描けず、「ブラック企業」という言葉もなかったのでパワハラとサービス残業が苛烈で、辞めるも地獄、続けるも地獄で、心を壊した者が多いのです。

不安定な雇用の中で職を転々とするので、身につけるべきスキルや、腰を据えて取り組むべき職能も得られず、努力は報われず、やりがいも感じにくく、当然年収も上がりません。就職氷河期世代は、終身雇用の社会を生きてきた親世代の人々には想像もつかないほど厳しい世界で生きてきたのです。

「これくらいの年齢であれば、最低限〇〇万円は稼いでいたかった」という親世代の価値観を植え付けられて設定された『あるべき姿』と、現在の自分の年収を比べてしまいます。

自分で設定していなくても、親や周囲、新聞、テレビ、Webサイトなどから情報を得てしまう事で、知らず知らず自分と比べてしまい、自己肯定感を損なってしまいます。

場合によっては、鈍感な親などに直接「お前の努力が足りないから年収が上がらないんだ」「なぜ正社員になれないんだ」などと言われてしまう例もあるでしょう。

「自分は現役時代これだけ頑張った。我慢をした」などと武勇伝を語り、子供に対してマウントを取る親もいるでしょう。

親は子供の奮起を促すつもりで言っているのでしょうが、これでは逆効果です。

言われなくてもわかっている事を冷たく浴びせられ、それでも耐えて頑張っている姿を否定されて、結果だけで判断され、ありのまま存在する事を許されない。

親の考える『あるべき姿』を押し付け、自己否定感を増幅させる事で、奮起する為の元気を奪っているのです。

就職氷河期世代の中でも、真面目で優しく責任感のある者ほど、苦しい人生となっています。

原因2:好きなものを否定される

例えば親は子供に対して「男の子だからこの遊びをしなさい」「女の子だからこの服を着なさい」などと言って物を与える訳ですが、稀に違う個性をもった子供もいます。

女の子向けの可愛い服を着たがる男の子。
男の子に混じって活発に遊ぶ女の子。

子供の好きなものを否定するように「男の子なのだから、こちらの服を着なさい」「もっと女の子らしくしなさい」などと『ありのままの志向』を否定される事で、自己肯定感が低くなってしまう可能性があります。

強い自我を持っている性格の子は、どんなに親や周囲に押し付けられても自分を貫き通すでしょう。しかし、真面目さ、優しさなどから、自分を押し殺してしまう性格の子もいます。

人から『あるべき姿』を提示されてしまい、それに近づく努力をしたり、表面的にふるまうようにしたり、装ったりしてしまいます。

自分が好きなものを人に肯定してもらえない事で、自分の『ありのままの姿』を肯定できなくなってしまうのです。

LGBTQ(性的マイノリティ)が認知されてきた時代です。子供の『ありのままの姿』を認めてあげましょう。

原因3:寂しい思いをする

マズローの欲求5段階説

マズローの欲求5段階説

アメリカの心理学者マズローが『欲求5段階説』というものを提唱していて、その中に「集団に属する欲求」というものがあります。上の画像の、下から3番目にある「仲間に入りたい」という部分です。

人は孤独感や孤立感に弱い生き物です。
「ご飯を食べたい」「眠りたい」などの生理的欲求がある程度満たされ、安全に暮らすことができてくると、どこかに所属して仲間を作りたくなります。

その際に、学校の教室や田舎など、人数の限られた狭いコミュニティにいると、自分と同じ趣味や志向の人に出会える確率が低くなります。

限られた人間関係の中で、クラス替えや卒業まで縁を切る事もできず、立場が弱ければ自分を押し殺してでも仲間に入るという選択をすることもあるでしょう。

『ありのままの姿』でいてはいけない。周囲にうまく溶け込まなくてはいけない。そういう気持ちをずっと持ち続けて生活し、それが普通になってしまう事があります。

そして、大人になって子供を持つと、知らず知らず子供にも自分と同じふるまいを求めてしまうのです。

自己肯定感の回復方法

自分の人生が苦しいと感じた時、その原因が『あるべき姿』に近づこうとしても近づけない苦しみから来るものであると自覚した時、低くなってしまった自己肯定感をどのように回復すればよいでしょうか。

人の数だけ個性があるように、人の数だけ『ありのままの姿』があり、具体的な回復方法は異なります。ですが、回復方法の原則を知ることで自分にとっての最適な方法を、自分で見つけることができます。

回復方法の原則は3つあります。

・回復方法の原則1:ワガママになる
・回復方法の原則2:好きなものを見つける
・回復方法の原則3:広い世界を見る

それでは順に説明していきます。

回復方法の原則1:ワガママになる

回復方法の原則1つ目は、ワガママになることです。

原因の1つである「真面目さ、優しさ、責任感」を良い意味で捨て去ります。

周囲の期待に無理に応えようとしなくても良いのです。

失敗しても過剰に気にすることはありません。

誰もが自分の人生を生きるだけで精一杯。

他人の期待になど応えている余裕は、私達にはないのです。

回復方法の原則2:好きなものを見つける

回復方法の原則2つ目は、好きなものや、やりたい事を見つける事です。

この時に大切なのは「誰かの仲間に入りたい」という気持ちや「周囲から浮きたくない」という気持ちよりも、自分の興味を優先する事です。

良さを共感してくれる人が身近に居なくても構いません。今はインターネットがあり、SNSがあります。趣味の合う人を見つけやすい時代なのです。

もしこの記事を読んでいる貴方が、子を持つ親の立場であれば、子供が興味を示しているものを否定しないであげてください。

自分が嫌いなものを子供が好きだと言った時、親のエゴを押し通して取り上げたり、別のものに興味が向くように画策しないでください。

子供の個性を尊重し、『ありのままの姿』を肯定してあげてください。

回復方法の原則3:広い世界に出る

家、教室、学校、地域。

狭い世界にいると、数少ない価値観の中で生きていかなればなりません。その価値観が偶然自分に合っているものならば問題ないでしょう。

しかし、その価値観が自分に合わず、不得意なものばかりで評価されてしまい、劣等感や自己否定感を持ってしまう場合もあります。

狭い世界で生きづらさを感じるようであれば、広い世界に出る事が望ましいでしょう。

今はインターネットがあり、SNSがあります。

日本だけでなく世界中の人と手軽に繋がる事ができます。特別な知識がなくても画像や音楽を誰でも共有する事ができ、言葉は自動翻訳できます。市場の小さな趣味であっても、検索ですぐに仲間を見つける事ができます。

匿名で始められるSNSもあります。

広い世界で様々な価値観に触れ、自己を肯定できる環境を見つけて入ってみると良いでしょう。

そこで見つけた世界は、必ずしも明るくポジティブな集まりである必要はありません。

人生の生きづらさに苦しみ、悩んでいる人々の集まりでも構いません。

共感し、ネガティブな発言も含めて『ありのままの姿』をゆるしあい、『あるべき姿』を壊すことで自己肯定感を取り戻す。そういうコミュニティも存在します。

Twitterのような匿名でも参加可能なSNSでは、留年の苦しみを慰め合う大学生、ブラック企業の苛烈な労働とパワハラで心を病んだ大人、引きこもりの苦しみを吐露する中年、嫁ぎ先の家庭で孤立する主婦など、様々な人々の集まり=”界隈”と呼ばれるつながりが存在します。

共感しあえる人たちと繋がりを持つことで、自分の弱みも含めた『ありのままの姿』を認め合う事で、自己肯定感を取り戻しながら日々を生きる事ができている人々もいます。

あえてネガティブなワードで検索してみるのも一つの手段でしょう。

まとめ

「自己肯定感が低い」という言い方をしますが、自己肯定感そのものが高くなったり低くなったりするようなものではありません。

『ありのままの姿』と『あるべき姿』との相対的な関係から、自己肯定感は低くなります。

『ありのままの姿』とはネガティブな面も含みます。自分の嫌いな面も含めた「あるがままの自分で大丈夫」という、許しの感覚を持つことにより、自然と自分を支えるようになるものが自己肯定感なのです。

そのための回復方法の原則が、「ワガママになる」「好きなものを見つける」「広い世界を見る」の3つです。

いかがでしたでしょうか。

この記事が、自己肯定感に対する誤解を解き、原因を知り、対処方法を知る事で、低くなってしまった自己肯定感を回復する手助けになれればと願っています。

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